医療機器行政情報  

 

制度の主旨

難病、エイズ等の患者数の少ない「希少疾病」を対象とする医薬品または医療機器は、医療上の必要性が高いにもかかわらずなかなか研究開発が進まない、進みにくい状況にある。このため、国としてこれらのものの開発に特別の支援をしようと平成5年の薬事法改正の時に導入された制度。

制度の概要

 申請者は、指定申請に係る品目の指定要件該当性を判断するために必要な資料を厚生労働大臣に提出します。 厚生労働大臣は、これらの提出資料に基づき、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定の可否を判断することになります。厚生労働大臣は、希少疾病用医療機器を指定したときは、その旨を公示します。

指定の基準

 我が国における対象患者数が5万人未満であること。
 医療上、特にその必要性が高いこと(代替する適切な医療機器や治療法がないこと,又は既存の医療機器と比較して著しく有効性若しくは安全性が高いものをいう)。
 開発の可能性が高いこと(当該医療機器を使用する理論的根拠及び開発計画の妥当性が高いことをいう)。

支援・優遇措置

希少疾病用医療機器として指定を受けた医療機器を開発する企業等は,厚生労動省または医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下、医薬品機構といいます)から以下のような措置が受けられます。
参考:独立行政法人医薬基盤研究所
希少疾病用医薬品等開発振興課

a 助成金の交付
  希少疾病用医療機器の指定を受けると、当該希少疾病用医療機器の試験研究に必要な経費に充てるため、国庫補助金を原資とし、厚生労働省医政局研究開発振興課より医薬品機構を通じて,助成金の交付を行っています。助成金の交付額は試験研究費の直接経費について、その2分の1を限度としています。

b 税制上の措置
 平成5年度税制改正によって希少疾病用医薬品等開発促進税制が創設されましたが、平成11年度税制改正において本税制は、増加試験研究費税額控除制度の控除限度額の上乗せに整理されました。この認定を受けると、希少疾病用医療機器に関する試験研究費から、医薬品機構による助成金を除いた額の15%に相当する額が増加試験研究費税額控除制度の控除限度額(当期法人税額の14%が限度)に加算されることになります。

c 指導・助言
 希少疾病用医療機器の指定を受けると、医薬品機構から希少疾病用医療機器に関する試験研究に関して、指導及び助言を無料で受けることができます。

d 優先審査の実施
 希少疾病用医療機器として指定を受けたものは、できるだけ速やかに医療に提供できるよう,他の医療機器に優先して承認審査が行われます。

e 再審査期間の延長
 希少疾病用医療機器として指定され、その後に医療機器として承認されたものは、再審査期間が延長されます。医療機器の場合は、通常の4年から最長7年に延長されます。

指定の取消

希少疾病用医療機器の指定は、一定の事由が生じたときに厚生労働大臣によって取り消されることがあります。取消事由には、試験研究や製造・輸入の中止による中止届があったとき、さらに次の場合があります。

(a) 指定後の状況の変化によって指定の要件に該当しなくなった場合
(b) 指定に際して不正行為があった場合
(c) 正当な理由なく試験研究や製造・輸入が行われない場合
(d) 薬事法その他薬事に関する法令やこれに基づく処分に違反した場合

厚生労働大臣は、指定を取り消したときには、指定の場合と同様、その旨を公示します。

希少疾病用医療機器に指定されても薬事法に基づく製造承認そのものとは直接は結びつかず、これから国内での治験等が行われ、最終的にはこの指定とはまた別に薬事法上の承認のための申請が行われる。


指定番号
医療機器の名称
(販売名)
予定される効能又は効果

申請者の名称

指定日

承認日

承認された効能又は効果

製造販売承認を受けた者の名称

1

植込型除細動器
(植込型PCD7217)

心室性頻拍性不整脈による突然死の危険性の高い症例

日本メドトロニック(株)

H5.11.15

H6. 7. 7

心室性頻拍性不整脈による突然死の危険性の高い症例に対して用いられる

日本メドトロニック(株) 

2

吸着型血液浄化器
(リクセル)

次の疾患で高度の運動障害等により日常生活が著しい制限を受けている重篤な患者:透析アミロイド症

鐘淵化学工業(株)

H5.11.15

H6. 4. 8

次の疾患で高度の運動障害等により日常生活が著しい制限を受けている重篤な患者:透析アミロイド症

(株)カネカ 

3

磁気細胞分離システム
(アイソレックス300)

同種骨髄移植、自家骨髄移植及び自家末梢血幹細胞移植時における造血幹細胞(CD34陽性細胞)の分離採取

タカラバイオ(株)

H7. 4. 1
*

H13.8.31

 

悪性腫瘍患者の自家骨髄移植及び自家末梢血管細胞移植における造血幹細胞(CD34陽性細胞)の分離採取) バクスター(株) 

4

リンパ球分離器具

同種骨髄移植時におけるTリンパ球の除去

旭メディカル(株)

H7. 4. 1
*

H11.5.27 指定取消し

-

5

疼痛緩和用セミディスポーザブルポンプシステム

麻薬の経口投与、静脈注射又は皮下注射では十分な効果が期待できない激しい疼痛を伴う各種癌の鎮痛

テルモ(株)

H8. 4. 1
*

H13.8.24 指定取消し

-

6

植込み型補助人工心臓
(HeartMate XVE LVAS)

我が国で使用が認められている補助循環及び最大限の内科的治療によっても生存が困難な、拡張型心筋症、虚血性心疾患、後天性弁膜症、慢性心不全に移行した急性心筋炎症例及びその他の心原性循環不全等の末期心不全患者で、心臓移植待機中の患者で重症心不全に陥った症例又は長期循環補助が必要とされる症状に対して使用し、心不全による二次的な各臓器の機能不全の防止や改善手術前に服用していた医薬品の種類及び量の軽減等末期心不全に陥った患者の心機能及び全身状態を改善する。

(株)ニッショー

H11.5.27

H21.11.18

 

心移植以外には救命が困難と考えられる症例においては、本邦において臨床現場で使用できる植込み型人工心臓が存在しないことに鑑み、承認条件を付した上で承認された。

 

ニプロ(株)

7

植込み型補助人工心臓
(ノバコア左室補助人工心臓システム)

本システムは、不可逆性の末期的重症心不全患者で、心機能低下により死亡の危険性が高くなっている患者に、心移植までのブリッジ使用も含めた長期的な血液循環維持を目的として使用される。

バクスター(株)

H11.8.25

H13.8.31

 

本左室補助人工心臓システムは、重症心不全患者で、従来の治療法(薬物療法や既存の補助循環法)にも関わら ず継続した代償不全に陥っており、かつ、心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例に対する循環改善に使用される。

エドワーズライフサイエンス(株) 

8

磁気細胞分離システム

悪性腫瘍、非腫瘍性疾患、先天性疾患及び重症自己免疫疾患における同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植及び臍帯血移植時における造血幹細胞(CD34陽性細胞)の分離採取

麒麟麦酒(株)

H12.6.16
*

H18.12.21 指定取消し  -

9

吸着型血液浄化器
(アダカラム)

活動期のクローン病患者の緩解導入

(株)日本抗体研究所

H13.4.23
*

H20.9.2

本品は、栄養療法及び既存の薬物治療が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者の緩解促進に使用する。

(株)JIMRO

10

持続投与用植込み型プログラマブルポンプ
(シンクロメッドELポンプ)

脳性(小児)麻痺、脊髄血管障害、頚部脊椎症、後縦靭帯骨化症、多発性硬化症、脊髄小脳変性症(遺伝性痙性対麻痺)又は外傷後遺症(脊髄損傷又は頭部外傷)による重度の痙性麻痺

日本メドトロニック(株)

H13.8.1

H17.3.25

本品は脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺(既存治療で効果不十分な場合に限る)患者を対象に、バクロフェン髄注を髄腔内投与するために使用する薬液注入用ポンプである。尚、本品は、成人(17歳以上)を対象とする。

日本メドトロニック(株)
11 血球細胞除去用浄化器 難治性網膜ぶどう膜炎を有するベーチェット病患者の眼発作抑制  (株)JIMRO H17.10.14      
12 中心循環系血管内塞栓促進用補綴材
(コッドマン エンタープライズ VRD)
本品は外科的手術(クリッピング術など)又は寒栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難な未破裂脳動脈瘤(最大径が10mm以上)を有する患者のうち、ワイドネック型(ネック部が4mm以上又はドーム/ネック比が2未満と定義)脳動脈瘤を有する患者に、コイル塞栓術時のコル塊の親動脈への突出・逸脱を防ぐ目的のために使用される。 ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) H17.12.9 H22.1.8 本品はコイル塞栓術時のコイル塊の親動脈への突出・逸脱を防ぐために使用される。
対象患者:外科的手術(クリッピング術など)又は塞栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難なワイドネック型(ネック部が4mm以上又はドーム/ネック比が2未満)脳動脈瘤のうち、2.5~4mm径の親動脈に最大径7mm以上の未破裂脳動脈瘤を有する患者
ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)
13 植込み型補助人工心臓システム(EVAHEART) 心臓移植適格のある患者で、従来の内科的治療法(薬物療法やIABPの補助循環法)によっても回復する見込みがなく、かつ、心機能の低下により死亡の危険が切迫している、拡張型心筋症や虚血性心疾患等を有する不可逆的末期重症心不全患者の血液循環を改善維持すること。 (株)サンメディカル技術研究所 H19.7.6 H22.12.8  本品は、末期的重症心不全で心臓移植が必要な患者に対し、循環改善を目的として使用する植込み型左心補助人工心臓システムである。   (株)サンメディカル技術研究所
14 中心循環系血管内塞栓促進用補綴材 本品は、外科的手術(クリッピング術など)又は塞栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難な未破裂脳動脈瘤(最大径が10mm以上)を有する患者のうち、ワイドネック型(ネック部が4mm以上又はドーム/ネック比が2未満と定義)脳動脈瘤を有する患者に、コイル塞栓術時のコイル塊の親動脈への突出、逸脱を防ぐ目的のために使用される。 ボストン・サイエンティフィックジャパン(株) H20.6.11 H23.12.9 指定取消し  -
15 他家培養角膜上皮細胞シート 角膜上皮幹細胞疲弊症患者の角膜上皮の修復又は視機能の改善 アルブラスト(株) H20.6.11      
16 PDT半導体レーザ 本医療機器は、光感受性物質タラポルフィンナトリウム製剤と ともに使用し、悪性神経膠腫の治療に用いる。 パナソニック四国エレクトロニクス(株) H20.12.15      
17 植込み型補助人工心臓システム
(Jarvik2000植込み型補助人工心臓システム)
心臓移植希望者(レシピエント)適応基準に準ずる重症末期心不 全患者で、心機能の低下により死亡の危険性が切迫している患者に、心移植までのブリッジ使用を目 的として使用する。 センチュリーメディカル(株) H20.12.15      
18 植込み型補助人工心臓システム
(DuraHeart左心補助人工心臓システム)
本品は、末期的心不全患者で心臓移植が必要な症例に対して循環改善を目的として使用される埋込み型左心補助人工心臓である。
テルモ(株) H21.3.11 H22.12.8 本品は、心臓移植適応の重症心不全患者で、薬物療法や体外式補助人工心臓などの補助循環法によっても継続した代償不全に陥っており、かつ、心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例に対して、心臓移植までの循環改善に使用される。  テルモ(株) 
19 血球細胞除去用浄化器 膿疱性乾癬患者の臨床症状の改善 (株)JIMRO H21.7.7      
20 気管支充填材 外科手術が困難な続発性難治性気胸、気管支瘻等の治療 原田産業(株) H21.10.28      
21 胎児シャント 本品は内腔を有するシャントチューブを胎児の胸腔から母体の羊水腔まで通して留置し、胎児胸腔に貯留した胸水を羊水腔へ持続的に排出することを目的とする。これにより胎児水腫を改善し、肺低形成を予防し、妊娠期間を延長させる。 (株)八光 H22.3.19 H23.12.20 本品は、胎児胸水を母体の羊水腔に持続的に排出することを目的として留置するシャントチューブと、シャントチューブを留置部位まで送るデリバリーシステム等から構成される胎児シャントシステムである。 (株)八光
22 ヒト自家移植組織 表皮水疱症患者に発生する難治性のびらん・潰瘍を適応対象とする。本品は、難治性のびらん・潰瘍部位に適用し、速やかに上皮化させることを目的とする。 (株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング H.23.3.18        
23 体外設置式補助人工心臓ポンプ 本品は、従来の投薬治療及び補助循環では症状が改善しない小児(体表面積1.5m2以下で体重2kg以上60kg以下)の重症心不全患者に対して、心臓移植までの循環改善又は心機能の回復を目的に使用される。 (株)カルディオ H.23.6.17           
※指定日欄の * は助成金公布品目

指定年度別の希少疾病用医療機器の承認・取消の状況

年度

指定 承認 取消
H5 2 2 0
H7 2 1 1
H8 1 0 1
H11 2 2 0
H12 1 0 1
H13 2 2 0
H17 2 1 0
H19 1 0 0
H20 5 0 0
H21 3 0 0
H22 1 1 0
H23 1 1 1
合計 23 10 4


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