透析療法合同専門委員会を代表してご挨拶申し上げます。
透析療法合同専⾨委員会は⽇本腎臓学会、⽇本⼈⼯臓器学会、⽇本泌尿器科学会、⽇本移植学会、⽇本透析医学会の 5 学会より選出された委員により構成される委員会です。
その歴史は古く 1976 年に遡ります。これは臨床⼯学技⼠法が公布された 1987 年の11 年前です。当時は透析療法を担うメディカルスタッフの国家資格が存在せず、これを補完するために透析技術者を5学会により学会認定するための制度として、透析技術認定⼠制度を整備し、認定するために設置されました。
現在ではこの認定制度は、臨床⼯学技⼠・看護師・准看護師などの医療資格を有する ⽅々のうち、透析医療のスペシャリストを⽬指す⽅々が受験する所謂⼆階建て部分に相当する資格として位置付けられ発展しております。
当委員会の主要な事業は、認定講習会のためのテキスト(⾎液浄化療法ハンドブック)の企画編集、年 1 回の認定講習会(e ラーニング)の開催および認定試験の実施、認定証の交付、⽣涯教育のための認定更新制度に関する業務などです。特に講習会および指定テキストの内容は、透析技術や⼯学的知識のみならず、⾎液浄化全般にわたる知識、医療安全、合併症対策、腎移植、薬物療法、⾷事療法などの臨床⾯、さらに診療報酬、医療経済なども網羅した幅広い知識を習得するためのカリキュラムで構成されており、透析技術認定⼠の資格取得者は、これらに対応できるメディカルスタッフとして現在 14,927 名が全国各地で活躍されています。
わが国の透析治療における医療レベルは世界でもトップレベルであリ、これは優秀なメディカルスタッフに恵まれたことが⼤きく貢献していると思われますが、透析技術認定⼠制度はこのメディカルスタッフ育成の⼀翼を担ってきたと⾃負致しております。 さらに近年ではオンライン⾎液透析濾過(OL-HDF)が急速に普及しておりますが、これには⾼度な⽔質管理および透析排⽔の適正管理が求められます。OL-HDF は欧州をはじめ多くの国々でも承認されていますが、いずれも個⼈⽤透析装置によるもので、セントラル⽅式の OL-HDF はわが国独⾃のシステムです。このシステムの適切な運⽤・管理を可能としているのは、わが国のメディカルスタッフの⼒量に負うところが⼤であります。
透析療法合同専⾨委員会では、これからも安全で質の⾼い透析療法の実践を⽬指してまいる所存です。透析技術認定⼠制度の⼀層の発展のため、皆様のご⽀援ご指導を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、当委員会歴代委員⻑の故稲⽣綱政先⽣、故太⽥和夫先⽣、佐中孜先⽣、篠⽥俊雄先⽣、峰島三千男先⽣による透析技術認定⼠制度発展への多⼤なるご尽⼒に敬意を表します。
透析療法合同専門委員会 委員長
久野 勉